なんとなく書きたくなったので書きます。10割が算数の話だしまぁ「認識されないディティール」の話なので意味はないです。自分用のメモみたいなもん。
ひも
CRTの後ろのこの子は、Capが元々垂れてたケーブルにしていたものの、CRTを動かすと動いてしまうのでやばいよね、ということで動的にいい感じにする必要がありました。
そこで元のメッシュはsubdiv付き線分にしてもらって、いい感じにするということでいい感じにしました。
まず紐の垂れる形状は懸垂線というやつで、 の一部になることが知られています。
ではどの一部なのかが問題です。
今回の制約条件は「端点の位置」「紐の長さ」です。紐が平面にあると仮定すると、紐の形状を決定するのは「(一様) 拡大」「平行移動」の3つのパラメータ。
端点の位置を と として正規化して、紐の形状を で表すことにします。正規化された状態での (固定の) 紐の長さを とします。
与えられた制約から:
- 始点
- 終点
- 弧長
なので、解きます。解けません。
諦めて二分法にします。 を固定した際の弧長を計算してぱたぱた動かしていきます。
から が計算できそうなことがわかったのでそこから倒します。がちゃがちゃ叩いたら次のようになりました。
- とすると
- より
よって を固定すると が出るのでそこから弧長 が計算できます。
後はぺちぺちやるだけです。ただこの時点で よりも の方が単位がまともそうなことに気づいたので、 に対して二分法をやります。
float ic = 3, dc = ic/2; float c = 1/ic, ac = 0; for(int i=0;i<12;i++) { float E = exp(1/c); float C = v/c; float eA = (E*sqrt(exp(-3/c)*(E*(C*C-2) + E*E + 1)) - C) * E/(E-1); ac = log(eA); float l = c*(sinh(1/c-ac) - sinh(0/c-ac)); if(l < L) ic += dc; else ic -= dc; c = 1/ic; dc /= 2.0; }
初期値は実験的に決めて になりました。これで c
つまり がわかったので、後は素直に答えが出ます。
さて曲線の形状がわかったので実際に曲げます。単なる平行移動では角度が変わらないので太さ一定になりません。よってちゃんと接空間を取って回転させる必要があります。
今回の曲線は (正規化された状態で) と表されます。
よって接ベクトルは (の方向) です。あとbinormalはY軸と直行するように設定しました。後はやるだけです。
全体としてこんな感じになってます。
float dist = distance(crtPoint.xz, fixPoint.xz); float scale = (crtPoint.y - fixPoint.y) / dist; float3 su = computeCurve(scale, 1.2/dist); // これがさっきのめんどくさいやつ float3 target = lerp(fixPoint, crtPoint, float3(t, (su.y+su.z*cosh((t-su.x)/su.z))/scale, t)); // calculate tangent float3 d = (crtPoint - fixPoint) * float3(1, sinh((t-su.x)/su.z)/scale, 1); d = normalize(d); float3 T = normalize(d); float3 up = float3(0,1,0); float3 B = normalize(cross(up,T)); float3 N = cross(T,B); perp = mul(transpose(float3x3(B,N,T)), perp); v.vertex.xyz = target + perp;
ちなみに元々ついてる斜めのケーブルを真っ直ぐに (tangent = +Z) にするために最初適当な逆回転を入れています。そしてケーブルの中心軸が target
、そこからのズレを perp
として、回転するときは perp
だけを回す感じですね。
そういえば弧長パラメータは取ってないです。めんどくさくて。多分わからんし。
あとCRTが動いたときの揺れはUdonから渡ってきた適当な値を元にして target
側に足し合わせてるだけです (重みは らしい)。
正しくはないけどさすがにわからないと思うのでOKだと思います。
前後移動
あとは大した話ではないのだけど。
この曲線は「 の一部分を切り出して貼っつけて繰り返して に突っ込んだもの」です。ええと。
結論から言うとこれなんだけど。
まず を適当に伸ばしたりずらしたものがあって。
ひっくり返して貼っ付けます。で、そうすると端点の傾きも一致するのでループできます。
出力のY座標が「整数付近が広い」のと、「半整数付近も広い」のが重要。
あとは に突っ込むとこう。
つまり整数らへんは1に、半整数らへんは-1になるわけです。
この曲線のパラメータは「傾きのきつさ (f1
, 0より大きい値) 」「デューティ比っぽいの (f2
, 0から1の間)」で制御できてて、こう、いい感じというわけです。
そういえばコントローラの画面にグラフを映すために コレ をやっています。これをやるために微分もついでに計算する必要がありました。
float2 crtF(float2 p, float x) { float s = p.x; float b = p.y; float v0 = tanh((0-b)*s), v1 = tanh((1-b)*s); float u = frac(x/2)*2-1; float ug = 1; float v = sign(u) * (tanh((abs(u)-b)*s)-v0)/(v1-v0); float vg = ug * s * pow(1 / cosh((abs(u)-b)*s), 2) / (v1-v0); float w = floor(x) + v*0.5+0.5; float wg = vg*0.5; float2 o = float2(cos(UNITY_PI*2*w), -UNITY_PI*2*wg*sin(UNITY_PI*2*w)); o.x += tanh(o.y) * p.x / 15.0f * 0.1; // grad bump return o; }
そういえば微分の出力を直接前後移動に足し込むことで「制御が行き過ぎた感」をちょっと入れたりしました。tanitta先生によるあどばいすからです。感謝。
さて、それはそれとしてあの5x5の「動き」ですが。アレはこの曲線に位相オフセットを入れているだけです。
発想のきっかけは とその上のフーリエ変換で、コントローラは周波数を指定しています。 の元で (自己双対なので)。
なのでコントローラでは16通りがくるくる選択できるようになっていて、一周するともとに戻ります (横1のズレが綺麗に波を一周するので)。そう。
ついでに中心からの距離の二乗 (x^2+y^2
) も使えます。これが中心からふわって動くようにみえるやつですね。
アーム
あとついでに。
5自由度のIKです。ふつうにUdonによるボーン制御です。
下から順に、XZの位置を弄る2つ、Pitchを保ったまま上下する為の1つ、Yaw角1つ、Pitch角1つです。
汎用的なIKの解き方はよくわからなかった (無知) ので適当にいい感じな方法を考えました。
まずpickupの角度をあわせます。YawとPitchは独立にできるのでするっといきます。
次に位置をあわせますが、Y座標をいじれるのも1自由度分しかないのでこれもするっといきます。
後はXZ座標ですが、ここまでくると平面のよくあるケースに落ちるので。ぐっ (先端に近い方を目的地に近づけて、その次にもう一つの関節も近づける) と。
で、これまでの工程を1Fに2回反復させて (何故ならそうしなかったらめちゃくちゃ振動したので) だんだん近づける、というやり方をしました。
まともに動いてるのでいいんじゃないでしょうか。
まぁちょっと今可動域が少し狭くて困ってたりはするんですけどね…。治すのも面倒なのよね。
おわり
はい。